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かしわばやしの夜

002えほん

使用テキスト

福武書店

1987年12月15日 初版

画    佐藤国男

 

 

ページ:物語の始まりの 清作は、さあ日暮れだぞ、

2行目 「銅(あかがね)づくりのお日さま」

あかがね-300x207

2行目 「群青いろをしたところに落ちて

自分で色を作ることはできませんでした

参考:「色の手帖」小学館・昭和61年 151p

「新版 色の手帖」小学館・1986 120p

フェルメールの”あの絵”のターバンのいろ

5行目 「欝金しゃっぽ(なぜかひらがな)」の

欝金色のシャッポまたは欝金で染めたシャッポ

材料があったので、自分で染めてみましたうこん根-300x198

欝金の根をきざんだところ

うこん1-300x257うこん2-300x276  上段は漂白した木綿 下段は生成りのウール

左は一回染      右は二回染

媒染は左から酢酸・ミョウバン(カリ)・錫(塩化第二錫)

木綿のどれかが賢治が表現したかった色かと思われます  作品のなかで、欝金しゃっぽをかぶっていたのはだれか   ははっきり書かれていません。絵本作家はかしわの大王としています。木の構成成分はセルローズが多いということもあり木綿に染めた欝金色を取るのがしっくりします

参考:「色の手帖」97p、「新版色の手帖」72p

8行目 「赤いトルコ帽」

ここでは、赤についてではなく、絵本作家の描いたトルコ帽の誤りを指摘しておきたい                      トルコ帽には「つば」がない。台形立法体でてっぺんにふさがついている。フェルト製で、通常深紅に染められている    映画ずきの方は「カサブランカ」「ペペル モコ」いずれもモノクロですが形はわかります。カサブランカはデジタルで彩色したものも出てはいますが、LDで所有していますが見ていません

8行目 「鼠(ねずみ)いろの」

ここはパスします。この色ほど多種多様な色はないかもしれません。「新版色の手帖」には13種類のグレーが表示されています。

21行目 「銀(ぎん)のきな粉(こ)」でまぶされます         これは不思議な色です。 きな粉は炒った大豆を挽いて粉にしたものです。「銀の」はきな粉を形容しいます。ここでは銀色やきな粉色の混ざった細かい粒子と解釈しても良いのではないかと思われます。星空(星や銀河)。

ページ:林のなかは浅黄いろで、

一行目 林のなかは浅黄いろで

漢字は一字一字意味を持っています。そこが良いところではあるのですが、字面を見て意味が解ったと思ってしまいます断じて薄い黄いろではありません

浅黄侍の意味知っているものにはすぐわかる色です。国語 辞書に  も載っています。染色を繰り返し、最後に藍瓶にわずかに残った藍でかすかに染まった木綿の裏地をつけた着物着た侍、すなわち、貧乏侍。なので、藍色を極限まで薄くした 色を当て字で表現していたのです(と思います)。          浅葱が転じて浅黄。

浅黄種-300x283

浅黄自家-300x248

自分で育てた浅黄葱

上の記述と随分違うではないか、との声が聞こえてきそうです。      言葉の意味は変遷します。

古来から現代まで日本人は青とみどりのくべつが曖昧です  例えば、白砂青松(青い松は見たことない)、信号機の    赤黄青(緑だ)     傍証: 濃い色をして昇ってきた月も、夜中には中天で青白くひかり、真夏のかしわの木の葉は濃い緑色をしている。したがって、現代の浅葱色に近い色に包まれていたはずである。参考:「色の手帖」140p「新版 色の手帖」108p

雑記:文学者でも言語学者でもないもだのが、以前からひっかっていたことがある。ふりがなをつけなければ読めない難しい漢字を使った賢治がなぜ”かしわばやし”とひらがなにしたのか。柏手(かしわで)と拍手(はくしゅ)は同じ漢字で書かれる 「はくしゅ」はいいぞいいぞと「はやし」たてるときにするもの かけことばにしたのではないか。考えすぎでしょうか。

別の絵本を入手しました。残念ながら絶版です

名称未設定小林-224x300

画   小林敏也   パロル舎 1996年6月5日 第一刷

色使いは賢治の表現に忠実です。トルコ帽の形も正しく画かれています

永訣の朝

eiketunoasa

宮沢賢治挽歌画集  遠山繁年・画    リトグラフ

発行所・偕成社  1996年8月2刷

現在絶版のようです

 

  1. 永訣の朝
  2. 松の針
  3. 無声慟哭
  4. 風林
  5. 白い鳥
  6. 青森挽歌
  7. オホーツク挽歌
  8. 樺太鉄道
  9. 鈴谷平原
  10. 噴火湾(ノクターン)
  11. 薤露青

薤露青 のみ「春と修羅第二集」から。他は「春と修羅」から

とりあげられています。

今回は、この画集の第一番目にある

「永訣の朝

人類史に残るこの挽歌

蓴菜も、みかげせきざいも、藍さえもすっとばして

蒼鉛いろだけについて書きたい

前にも書いたが、私たちは漢字の字面を見て分かったように思ってしまう

蒼はなんとなく「あおい」かと、鉛そのものは見たことないけれど、なんとなくわかると思ってしまう。 ほんとうの鉛を色を見たものはほとんどいないのに。ハンダは?実は錫が半分以上混ざった合金なのです

この絵本の用語解説には、言葉で正しく解説されています。「宮沢賢治語彙辞典」にも

蒼鉛(そうえん)はれっきとした元素名です。英・仏でbismuth、日本ではビスマスです           岩波 理化学辞典には 赤みをおびた銀白色と説明されています

ビスマス・ショットビスマス・ショット外観-256x300

ショット(熔けた金属を水などのなかに落として粒状にしたも)

Biインゴット-300x242

径約2センチのインゴット(熔けた金属を型のなかで凝固させたもの)      左から側面、上面、底面

bisumasu研磨-300x300

底面をヤスリで磨いた直後の色

冬の午後の空の雲の色で、そういえば見たことあるなあという色ではありませんか

賢治は化学者もっと広く科学者でしたから、当然この蒼鉛の色を知っていました

これで、蒼鉛いろはわたくしたちにとって特別な色になりました

(著作権を考慮して、絵本の内部は掲載できません

作家が使った空の色は大部分が薄い青になっています)