薤露青

薤露青

まず、色名としてはどこにも出てきません

賢治の造語です

1:どう読むか

(イ)さきに取り上げた「宮沢賢治挽歌画集 永訣の朝」の最後に載せ

られています。その解説では「カイロセイ」  

(ロ)「宮沢賢治語彙辞典」(旧版)では「かいろせい」となっています

(ハ)「賢治の見た星空」 藤井え旭 著  作品社 2001.12.30初版

184頁  ・・・そして斉藤先生からの注文は、「薤露青」は「かいろせい」

などと読まず「カイロ・ブルー」と読んでほしいとのことであった。その

読み方のほうが「いかにも賢治らしい」からのだそうだ・・・

*斉藤先生:斉藤文一または斉藤国治氏、文脈からは特定

できません。

 2:意味:薤はラッキョウ、薤露はラッキョウについた露、はらり

とすぐに落ちる(または、すぐ乾く)のでとても短い時間を表す。人生(命)

のはかなさを表す言葉です。

 

3:出典

「語彙辞典そのたにも、深くたどったものはありません。

漱石の初期作品に「薤露行」がある、その出所は古楽府とか

までです。

まったく別の目的で、漢詩関係の本をぱらぱらめくっていたとき、「薤露」

が目に飛び込んできました(この項を下書きしたまま放置中のことでし

た)。ほかの頁にはところどころチェックがはいっていましたが、そのとこ

ろは当時興味をおぼえなかったようで、なにもしるしはありませんでし

た。

偶然というにはあまりにもふしぎです。

 

漢詩縮小再漢詩おく付

薤露縮左 薤露右

メモによると 1984.12.21に購入

中身p158・159 読みにくいので転記します

 

薤露(かいろ)

漢代、貴人の葬式のときの挽歌。会葬者が柩車を綱で引きながら歌う

 

薤上露 何昜晞

薤上の露 何(なん)ぞ晞(かわ)き昜(やす)き。

露晞明朝更復落

露は晞くも明朝(みょうちょう)更(さらに)復(また)落(お)つ。

人死一去何時歸

人は死して一(ひと)たび去(さ)れば何(いずれ)時にか歸(かえ)らん。

 

ニラの葉におりた露は、あという間にかわいてしまう。かわいた露は、

あしたの朝にはまた結ぶが、人はいちど死んだら、二度と帰ってこない。

(薤)ニラの類。

 

私見ですが、薤はやはりらっきょうでしょう。にらの類は のほうが似合うとおもいます。禅寺の入口にある石塔「不許薫酒入門」の薫です。

賢治は熟語としての薤露だけではなく、この古い漢詩を知っていたの

しょう。「・・・胸いっぱいの やり場所のないかなしさ」を表現するために

この薤露青を作り、使ったにちがいない。

 

薤の色がどんな色かを知ることには意味がありませんが、先祖

代々つくってきた畑にあるらきょうの写真を載せておきます。

左下の球根部分を食します。

らっきょう縮2

 

血紅瑪瑙(けっこうめのう)

鉱物学の領域です

硬いので、分析用資料をすり潰すのに乳鉢としても使います。賢治は

当然よく使ったでしょう。宝石としても血紅というほど赤いものはないいで

しょうが。

「宮沢賢治 宝石の図誌」  1995。12。20初版第3刷

宝石の図誌縮  

瑪瑙は載っていますが、染料で染められると書いてあって赤い瑪瑙の写

真はありません。

 

灰いろはがね

(イ)灰いろ

現代生活では、灰を見たことがないひとも多いのではないか

草木灰(そうもっかい)は草や木を燃やしたあとに残る植物体に

含まれていた無機物の集合体です。由来によって構成物質

が微妙にに異なります。焼き物の灰釉・染色の媒染などでその

違いを利用します。アクはおもに含まれる炭酸カリュウムを利用している

のだと思います。

薪ストーブからでた灰です。おもに針葉樹を燃やしたものです。

灰3

(ロ)はがね

鋼(はがね)  わたくしたちがふつう鉄と呼んでいるのは純鉄ではな

くて、簡単に言ってしまうと少量の炭素との合金です(不純物や添加物

のことはおいておいて)炭素の割合と熱処理の違いにより結晶の組成や

粒子の大きさなどがいろいろに変わります。その結果硬さなどの性質

も複雑に変わります。それを磨いて見たときの色合いもそれによって

変わります。日本刀は単一の鋼で作られているのではなく、異なる成分

(結果性質)のもを包み込んで伸ばし、刃の部分は焼き入れのとき粘土を

かけるなどして「かりかり」になるのを避けていたりします。世界に類のな

い作り方です。ですので、博物館などで、本物の日本刀をぜひ見てくださ

い。いろいろな灰いろはがねの色が、一本の刀で見られます。

(ハ)秋の鮎のさび

鉄さびいろのことだとおもいます。化学的には三二酸化鉄といって

赤茶いろです。(写真が撮れたら載せます)

薤露青」への8件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>